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壱岐新聞に掲載されました。

2015-9-5

KUROKI


壱岐新聞9月4日号にいき研の黒木正剛理事が紹介されました。
商品開発の想いを語っています。




今年4月から壱岐商業高校で課題研究「商品開発」の講師を務め、授業の中で壱岐産アスパラガスを使用した「アッパレカレー」を開発指導した黒木正剛氏(株式会社はかた本舗代表)に、商品開発への想いを聞いた。


●商業教育講座を通じ、多くの高校で商品開発をするようになったきっかけは。
多くの企業が高校で行う商品開発は、商品を売ることだけになってしまい、金儲けが目的になりがちです。弊社はこれからの21世紀を担う生徒たちに『マーケティングという教育の体系を残していきたい』という想いで商品開発を行っています。
商品を作るのは簡単ですが、授業の中から自分たちの学んだことの延長上に商品が出来上がってくる。結果として商品が売れて収益になればいいのですが、目的はあくまでも教育です。私が2年目、3年目にいなくなっても、1年目に私の授業を受ければ、学校に教育の体系が残り、先生方がやれるようになります。これを一校一校毎年立ち上げています。
今年は13校の講座を受け持っていますが、今までに授業を通じた色々な商品が生まれています。伊万里商業高校の「伊万里焼きカレー」や唐津商業高校の「松ゅらる」というドレッシングなどです。松ゅらるは生徒たちが「化学的に作られたアミノ酸は後味が悪いので使いたくない」という想いから、塩麹でうま味を出しています。全国的にヒットしていて、ある大手メーカーの株主優待にも使われているほどです。


●今年4月から壱岐商の講座も受け持っているが、生徒たちの反応は。
生徒は素直で非常に発想が豊かですね。柚子やアスパラガス、牛肉、米、イチゴなどの壱岐産素材を使った、全部で25のアイデアが出ました。その中で一番現実性があったのが、今回のアスパラガスを使ったカレーです。皆さんがご存じの通り、2012年に日本農業賞大賞を取った日本一のアスパラガスを使い、生徒たちが考案したことに意味があります。これを弊社が考えるのではなく、生徒たちが授業の中で考えていくこと、その結果として商品が世に出ていくとことが、生徒たちの教育的成果に必ず繋がると考えています。


●アッパレカレー開発には色々な企業、団体が協働していると聞いた。
他の高校と最も違う点はJA壱岐市が全面的に協力してくれたことと、壱岐と弊社を繋ぐ役割をNPO法人いき交流文化デザイン研究所が橋渡し役として手助けしてくれたことです。商品開発には今までの「競争」から共に創る「共創」が重要になっています。自分だけが良い思いをするのではなく、皆で考え、皆で価値を創造していくのが大事なのです。
消費者のことをよく考えてアイデアを出した商品は売れますが、そうでない商品は売れません。そのためには相手に対する想いが必要です。
アッパレカレーであれば、壱岐のこれほど美味しいアスパラガスを何とか世の中の人に食べてもらいたいという想い、魂が必要です。だから授業を大事にしています。授業を積み重ねている間に商品に対する想いが、次第にクラスの中に浸透します。
これを弊社が勝手に作ったら想いも何も入りません。そのプロセスが大事なのです。JA壱岐市やアスパラガス部会の生産者が共創するとアッパレカレーが壱岐商のカレーではなく、壱岐市の共有財産になっていくわけです。


●今後、壱岐とどう関わっていきたいか。
壱岐は海の幸、山の幸と食材の宝庫ですので、色々な商品を世に出していきたいですね。想いのある方、授業を受けてその中から商品を作っていきたいということであれば協力していきたいと思っています。
一次加工品だけで売るというのはもったいないですね。二次加工、三次加工をするべきです。そうすると商品の幅も広がっていきます。アッパレカレーで使用したアスパラガスは湯がいて食べていたものが、カレーになるしスープにもなる。ひょっとしたら饅頭になるかもしれません。壱岐に来て8か月ですが、壱岐の商品だけでアッパレカレー(壱岐商開発)、めがぱちっゼリー/壱岐産ゆず使用(博多女子高校開発・10月発売予定)、ゆずボーロ(いき交流文化デザイン研究所開発)、壱岐ゆず饅頭(同・10月発売予定)の4品目となり、それだけ食材があると言えるでしょう。
何度も言いますように金儲けのための商品を作るのではなく共創です。皆の想いを乗せて世の中に出していくことが大事ですね。私は今から23年前、ダイエー壱岐店がオープンした時の店員でもあり、壱岐に在住したこともあるため、壱岐に対する想いもあります。壱岐に恩返しが出来たら最高ですね。


◆黒木正剛
株式会社はかた本舗代表。NPO法人いき交流文化デザイン研究所理事。株式会社ダイエーなど、流通事業に携わって35年になる。主な事業は商品企画・開発、流通、教育事業。現在、九州各地で13校の商業教育講座を手掛け、マーケティングや電子商取引、販売までの座学と商品開発を通した実学を担当。